オークランドシティの左サイドバックの岩田卓也にとっては願ってもないチャンスになるはずであった。母国日本で開催されるFIFAクラブワールドカップ出場するのみならず、多くの友人家族のがスタンドから見守る前で、Jリーグ王者のサンフレッチェ広島と横浜国際競技場での対戦が実現したのだから。しかしながら、2012年よりオークランドシティでプレーする32才の岩田にとって、今回の凱旋帰国はあらゆる意味で痛い経験となった。
モロッコで行われた昨年のクラブワールドカップにオセアニア代表として出場し、快進撃を見せて3位となったオークランドシティではあったが、今年の大会では2‐0で敗れ、一回戦を突破することができなかった。更に悪いことに、試合終了間際の予期せぬ接触で相手プレーヤーの膝が岩田の顔面に入り、切り傷を手当てした後は頭に包帯を巻き、腫れた目でピッチに戻り勇敢に戦い続けたものの、チームの敗戦を防ぐことはできなかった。
FIFA.comが試合後の岩田に話を聞いたところ、彼は明らかにがっかりしていた。「結果には満足していない。何が何でもこの試合には勝ちたかったが、上手くプレーできなかった。十分に集中できていなくて、特に積極的に前へ出ていくことができず、決定的なパスを出すこともできなかった」
岩田は、この試合に大きな期待を持って臨んだ。「モチベーションは高く、加えて今大会では先発ポジションを得ることもできた」と、90分間を通じ大きな声援を浴び続けた岩田は話した。
「家族、友人、元チームメートなど400人近くがスタンドから岩田に声援を送り、友人の一人はオーストラリアから駆け付けた。試合の前にはみんなから励まされ、ピッチに出たらとにかく楽しめばいいんだ、と声を掛けられた。試合中も声援が聞こえた。みんなの声に力づけられた」
スペイン出身のラモン・トリビュリエッチ、オークランドシティ監督も岩田のことを称賛し、「顔面を打たれたことに、岩田の女性ファンは腹を立てていることだろう。パンパンに腫れあがったのだから。彼の性格が最後までプレーを続けさせたのだろう。試合に負けたことを誰よりも悔しがっているに違いない。彼は素晴らしい男だ」と語った。
誰からも好かれる性格の岩田は、今回の遠征のことについて質問されると、直ぐに笑顔を取り戻し、「悲しいことばかりでもなかった。サッカーをやっていれば、こういうこともある。」と話し、これからのことに気持ちを切り替えた。「クラブワールドカップに出場することは自分の夢であった。ほんの数年前まで、このようなレベルの大会に出場することを想像することもできなかった。それが、今では4回の出場を果たし、このことを非常に誇りに思っている」
これでオークランドシティのFIFAクラブワールドカップの挑戦は終わり、岩田とチームメートはいつもの生活に戻って行く。オークランドシティはセミプロのクラブなので、どのプレーヤーもピッチの外での仕事を持っている。
「チームに合流して練習する前に、一日働くことは疲れるし、エネルギーを消耗することは間違えない。日本にいる間は、サッカーだけに集中し、プロのチームと同じように準備をすることができたのは、素晴らしいことであった。来年も、必ずこの場に戻ってこれるように、全力を尽くす」と、岩田は力を込めた。
2016年も日本で開催される本大会へのオークランドシティの出場に貢献し、笑顔の凱旋をすることを岩田は望んでいる。
(FIFA.comより引用)
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